2020年に創業50年を迎える老舗の本屋さん、正和堂書店。
Instagramでおすすめの本を毎日レコメンドして、3万人以上のフォロワーがいる正和堂書店さんが、ママと子どもたちにぴったりな本を紹介してくれる連載「ママとこどもの本屋さん」。
ママには毎日の暮らしに役立つ本2冊を、子どもたちには親子のやりとりが増える絵本2冊をお届けします。
第3回目のテーマは、スッキリとしたお部屋で新年を迎えるのにぴったりな「おかたづけに関する本」です。暮らしを豊かにしてくれるヒントがあるかもしれませんよ。
昨日までとは違う朝になる! 気持ちの良い朝をむかえる夜のかたづけ習慣
『ずっとキレイが続く 7分の夜かたづけ』/広沢かつみ 著/青春出版社/1,490円(1,380円+税)
忙しい毎日、夜はのんびりリラックスしたいけど、その前に……! たった7分で「かたづかない」部屋から抜け出してみませんか? そこには昨日までとはちょっぴり違う、気持ちの良い朝が待っています。
この本には、1日の生活をスムーズにする、かたづけのコツが盛りだくさん。紹介されるのは、「テーブルの上をかたづけてから寝る」や、「(明日着る)衣服のチェックは夜のうちにする」など、どれも簡単なことです。
負担のないことから始めて、慣れたら少しずつ増やしていくうちに、「頑張らなくても暮らしの質が高まる魔法の習慣」が身に付くということです。誰にでもできて、すぐ取り掛かれるものが多いので、家族でそれぞれ取り組んでみるのもいいですね。
子ども部屋の項目では、小学校就学までに、子どもの翌日の準備を親が手伝うことで、「子どもは覚えていくし、習慣づきます」と、子どもの夜整理・夜準備についても触れられています。どんなことをチェックしたらいいのか、具体的に書かれているのが心強いです。自分のものを管理することが増えていく小学生に向けて、生活習慣の準備も始められますね。
また、「スキマ時間を見つけるためのムダ時間チェック表」も付いています。自分でも気付かなかったムダ時間をうまく見つけて、有効利用したいですね。
1日の約200分の1である7分、寝る前の“ちょっと”を使って、新しい習慣作りを始めてみましょう。だんだんクセになっていく“ちょいかたづけ”で、今日よりもここちいい朝を手に入れましょう。
捨てない理由にサヨウナラ!!「捨てる」ことから見える“心のゆとり”
『捨てる!快適生活』/飯田久恵 著/三笠書房/617円(571円+税)
日々増えていくモノを、スッキリさせたいけれど、いざ「捨てる」となると決断が難しいですよね。そんな踏ん切りがつかない心に寄り添いながら、「捨てる決心」を付けさせてくれるのが、この本です。
少し読みごたえのある量ですが、シンプルで分かりやすく、押しつけがましくない文章なので、スイスイ読めます。そして読めば読むほど、後ろめたかった「捨てること」に対して前向きな気持ちになります。
なぜなら、単純な収納技術を紹介するのではなく、「捨てない」原因に向き合う方法を教えてくれるからです。「捨てる」ことが難しいのは、「モノの整理にとどまらず、生き方の整理でもあるから」。具体例を出しながら論理的に「捨てる」メリットを説明してくれます。
「「要るもの」「要らないもの」徹底減量作戦の極意」では、場所やモノごとに「必携品リスト」があります。「捨てる」基準がはっきりして、具体的な「必要量」があると、取りかかりやすいですよね。
また、たとえ使わなくても、捨てない理由をはっきり言えるモノは「捨てない」で良いといわれると、ホッとします。何がなんでもモノを捨てて、強制的に減らすのではない、ちょっとユルイところがポイントです。
子どもたちの入学が近づいてくると、必要なモノも増えてきます。その前に収納を見直して、お部屋の入学準備もいいですね。お部屋もスッキリ、心も軽やかに、新しい1年を迎えられますように!
思わずお掃除したくなる!? ぐりとぐらのダイナミックな大掃除。
『ぐりとぐらのおおそうじ』/中川李枝子 作/山脇百合子 絵/福音館書店/972円(900円+税)
素朴な絵や優しい物語で、今や3世代に渡って大人気の「ぐりとぐら」シリーズ。おなじみの「ぐり ぐら ぐり ぐら」の歌も、今回は「ぼくらが このよで すきなのは おそうじすること みがくこと」と、お掃除バージョンです。
春に目覚めたぐりとぐらは、冬の間に閉め切っていた部屋のほこりにビックリ! 今日の仕事を大掃除に決めますが、掃除道具がボロボロで使い物になりません。「こまった、どうするか?」と考えて、ぐりとぐらが出した答えとは……!? その発想力に脱帽です。
そして始まった大掃除は、なんて自由で、楽しそうなんでしょう! ぐりとぐらのアイデアには、いつもワクワクさせられますね。きっと大人っだって「こんな大掃除してみたい!」と、心が躍りますよ。
躍動感いっぱいの、ぐりとぐら。あまりにハッスルしすぎたのか、ちょっとした騒動になってしまうのも微笑ましいですね。
最後は、すっかり明るくキレイになった部屋をお披露目します。春仕様になったお部屋を、はじめのページと見比べるのも楽しいですよ。他にも絵本の中には、ベゴニアにスミレにクローバーと春を告げる草花がたくさん描かれています。まるで新しい季節の到来を喜ぶ気持ちが、絵本全体に広がっているようです。
もうすぐ新しい年がやってくるので、子どもたちにも楽しんでお掃除してもらいたいですよね! お掃除気分を上げるためにも、ぜひオススメしたい1冊です。
かたづけしたら、どうなるの?メトロン星人から、おかたづけの大切さ
『かたづけしないとどうなるの?』/ひらいたろう 文/ヲバラ トモコ 絵/あいうえお館/756円(700円+税)
散らかすのが大好き! なんでかたづけないといけないの!? そんな子どもたちに、この本でおかたづけの大切さを学んでもらうのはいかがでしょう? ほのぼのしたタッチで描かれる絵も可愛らしく、人気ヒーローが脇役というのも面白いですね。これならおかたづけの苦手な子も、抵抗なく読み進められるかもしれません。
薬の研究や機械の修理をするメトロン星人の部屋は、本や不思議な機械などモノでいっぱい、散らかり放題です。遊びに来たウルトラセブンに、「すこしは かたづけを したほうが いいんじゃない?」と言われても、どこ吹く風。一向にかたづけをする気配はありません。
そんな散らかった部屋で、メトロン星人にどんな悲劇が起きるのか。見開き4ページにも渡るその様子には、少し気の毒ながらも、思わず笑ってしまいます。ずいぶん痛い目を見たメトロン星人は、さすがに懲りて(こりて)、部屋をかたづけ始めます。
そして、かたづいた部屋でメトロン星人はあることに気が付きます。それは、研究がはかどるようになったことだけではなく、友達のウルトラセブンと「いつもよりたのしく」過ごせたということ。
それからというもの、メトロン星人は、いつも部屋をきれいにするようになります。このメトロン星人の変化は、部屋がかたづくと過ごし方がどう変わるのか、それに気づくことが大切なんだ、と教えてくれます。きれいに部屋をかたづけたら、ママも子どもたちと「いつもよりたのしく」過ごしてみてくださいね。
2020年に創業50年を迎える、大阪市鶴見区にある昔ながらの本屋さん。
活字離れと言われるなか、さまざまなジャンルの本を知ってもらいたいという思いから、2017年3月より毎日インスタグラムにて本を紹介しています。
新しい試みとして発表したアイスキャンディー型のブックカバーも話題となりました。
3世代に愛される町の本屋さんを目指し、色々な事にチャレンジしながら頑張っています!