2020年に創業50年を迎える老舗の本屋さん、正和堂書店。
Instagramでおすすめの本を毎日レコメンドして、5万2000人以上のフォロワーがいる正和堂書店さんが、ママと子どもたちにぴったりな本を紹介してくれる連載「ママとこどもの本屋さん」。
第9回目となる今回は、「クリスマス」をテーマにした、ママと子どもたちにオススメの本をお届けします。
「完璧」よりも「楽しい」が大事!マネしたくなる「ホムパ」のススメ
『ツレヅレハナコのホムパにおいでよ!』/ツレヅレハナコ 著/小学館/1,200円+税
クリスマスや年末年始は、何かと人が集まるイベントがたくさん! しっかりおもてなししたいけれど、準備を想像するだけでくじけそう・・・。そんなお悩みを解消してくれるのが、この本です。
月に1度、多いときは2度3度とホームパーティー=「ホムパ」をしている筆者が教えてくれるのは、「気楽」で「ホストの疲れない」ホームパーティー! ホストが席に居られる料理のヒントなど、ホムパを楽しむコツとアイデアが盛りだくさんです。
たとえば、一番頭を悩ませる献立。「基本のホムパメニュー」として、和風からエスニックなものまでバリエーション豊富なメニューが紹介されています。それぞれ前菜・メイン・揚げ物・シメの項目ごとに分けられているので、チョイスしやすいのが魅力です。また、大体の品数が書かれているのも心強いですね。
ポテトサラダや枝豆など王道のメニューでありながらも、薬味の香味野菜やスパイスを効かせたレシピは、いつもとはちょっぴり違う「特別感」を演出してくれます。さらには、から揚げを山盛りにしたり、サラダや麺類をゲストの目の前でまぜて完成させたりと、料理の盛り上げ方や楽しみ方が紹介されているのもいいですね。
他にも、気楽な取り寄せ鍋やご当地料理で現地に行った気になる旅宴会、ゲストと一緒に作る餃子やたこ焼きは子どもたちも大喜びしそうです。とにかくページをめくるたびに、楽しそう! 今すぐにでもマネしたい! となるアイデアが満載です。
著者のハナコさんいわく、ホームパーティーの目的は「誰かと家でご飯を食べながら話す」こと。たしかに、完璧なおもてなしをすることよりも、「楽しい」や「おいしい」を共有することの方がずっと素敵ですよね。
「まずはひとりだけ」「いっそメインを取り寄せちゃう!」「ゲストも一緒に料理をする」という達人の秘訣に背中を押されて、呼びたい誰かの顔が浮かんでくるかもしれません。
初心者でもチャレンジしやすい!クリスマスから楽しむフラワーリース
『季節のフラワーリース基礎レッスン』/橋口 学 著/誠文堂新光社/1,800円+税
クリスマスの装飾といえば、ツリーとともに思い浮かべるのがリースではないでしょうか。最近は華やかなリースをドアに飾るお家も増えて、行きかう人々の目を楽しませてくれますね。
そんなリースの魅力を伝えてくれるのがこの本です。まず「リースを作る前に知っておきたい基礎知識」として、リースの持つ「永遠」という意味や、その表現方法から説明されているのもおもしろいですね。
また、ひと口にリースといっても、ドアに飾ったり、天井から吊るしたり、テーブルに置いたりと楽しみ方もさまざま。四季折々の花を使った49のリースたちはどれも素敵で、眺めているだけでも癒されます。
リースの作り方も、制作手順のプロセスが写真付きで説明されているので分かりやすく、花材や資材まで丁寧に記載されています。使う道具も、芯になる番線と材料を巻くリースワイヤーがあれば始められるので、初心者にもチャレンジしやすいですよ。使っている材料も、身近にある植物が多く、手に入りやすいのもポイントです。
表紙の花束のように華やかなリースから、葉っぱや枝だけで作られたシンプルなものまであるので、小枝や木の実などの材料を、子どもたちと一緒に集めるのも楽しそうですね。
紹介される7つのクリスマスリースも、シックなものからナチュラルなものまで個性豊か。クリスマスリースの葉の緑は希望を、実ものの赤は愛や生命力を象徴し、始まりも終わりもない形のリースを作ることで「永遠」のリズムを体感することができるそう。何だかロマンチックですよね。今年のクリスマスは、家族への願いを込めて、リースを作ってみるのはいかがでしょうか。
ワクワクがいっぱい詰まった、クリスマスの心温まる仕掛け絵本
『サンタさんのてがみ』/文 ジョセフィン・コリンズ、絵 ゲイル・イェリル、訳 ゆり よう子/ひさかたチャイルド/1,800円+税
クリスマスが近づくと、サンタさんに手紙を書く! という子どもたちが多いのではないでしょうか。この本は、そんな子どもたちからサンタさんに届いた手紙をめぐるお話です。
クリスマスが近づいたある日、サンタさんはとても忙しそうです。ポストに届く手紙を読んでは、森の動物たちと一緒に子どもたちのプレゼントを作っています。残すはあと一通。ところが大変、「だいじな てがみが どこかにかくれてしまったぞ!」。
サンタさんはチビねずみのピッピたちと一緒に探しますが、なかなかその手紙は見つかりません。家中を探してやっと見つけた手紙は、ピッピが書いたものでした。さて、ピッピの欲しいものとは…?
手伝ったみんなへのプレゼントも用意しているのが、サンタさんのステキなところですね。きっと、最後のページには、思わず歓声をあげてしまいますよ。
温かい色使いで、とても可愛いクリスマスの仕掛け絵本。金色の箔押しも特別な感じがします。ページを開くごとに仕掛けがあるので、次は何が現れるのか、胸が高鳴りますよ。絵本にたくさん貼られている封筒には、サンタさん宛てのお手紙が入っています。実際に封筒を開けて、取り出して読めるのがいいですね。どのお手紙の内容もほのぼのと心が温まります。
他にも、ひみつの地図やお買い物リストを開いてみたり、サンタさんの部屋の中をあちこち探してみたり、まるで絵本の登場人物になった気分を味わえるのが楽しいです。きっと子どもはたくさんの発見をしておしゃべりしてくれますよ!
クリスマスの楽しさは、当日までのワクワクした気持ちの中にもありますよね。そんなクリスマスまでの待ち遠しさを楽しめる素敵な絵本です。
待ち遠しいクリスマス、「はたらくくるま」が好きな子どものオヤスミ前に
『はたらく くるまたちの クリスマス』/文 シェリー・ダスキー・リンカー、絵 AG・フォード、訳 福本友美子 /ひさかたチャイルド/1,400円+税
広い工事現場に「はたらくくるま」が勢ぞろい。今年最後の大仕事を、クリスマスまでに仕上げようと休まず頑張っています。立派な建物を建てるために、力を合わせて頑張る車たち。ブルドーザーにショベルカー、ミキサー車にダンプカー、そしてクレーン車も! 子どもたちに人気の「はたらくくるま」たちが、愛らしいキャラクターになって登場します。
「ブルドーザーは はりきって、つちや いわを おしのける」や「ミキサーしゃは コンクリートを ながしこみ、 たてものの どだいを つくる」と、お話の中でリズムよく紹介される仕事ぶりは、写真や図鑑とはひと味違うあたたかさがあります。ポップなタッチで描かれた工事現場の車たちも可愛らしく、ほほえましい気持ちになります。
一生懸命に働いて仕事を終えた工事現場の車たちが、それぞれクリスマスのプレゼントを見つけるところも見どころです。いったい、この車にはどんなプレゼントが届いているのかな?と、想像するのも楽しいですね。そして、みんなが力を合わせて完成させた建物に帰ってきたのは……やっぱり人気の消防車たち。
「プレゼントを もらうのも、プレゼントを あげるのも、 どちらもうれしい クリスマス…」この言葉をかみしめるのは、パパやママの方かもしれませんね。
クリスマスの夜は「はたらくくるま」たちにとっても、特別な夜。大忙しの仕事中とは打って変わって、一台一台、ゆっくりと、しずかに眠りにつく姿が描かれます。「ゆっくり おやすみ……メリー・クリスマス! 」で終わる流れは、クリスマスまでの間の寝かしつけにもぴったりの絵本です。
2020年に創業50年を迎える、大阪市鶴見区にある昔ながらの本屋さん。
活字離れと言われるなか、さまざまなジャンルの本を知ってもらいたいという思いから、2017年3月より毎日インスタグラムにて本を紹介しています。
新しい試みとして発表したアイスキャンディー型のブックカバーも話題となりました。
3世代に愛される町の本屋さんを目指し、色々な事にチャレンジしながら頑張っています!