入学準備のスケジュールから、学習・生活環境の整え方、小学校で必要な準備物まで。
子どもたちの学びをサポートする「ベネッセ教育情報サイト」の中から、入学準備に役立つ情報を厳選してお届けします。
今回のテーマは、教育評論家に聞く「入学準備のポイント:友達関係、知的好奇心、生活リズム」です。
小学校の入学準備で保護者の関心が高いテーマについて、Benesse教育情報サイトの連載「教えて!親野先生」でもおなじみの親野智可等先生にお聞きしました。
友達関係のベースは親子のコミュニケーション
編集部 : 子どもの友達関係について悩んでいる保護者が多いようで、教育相談室にもたくさんの投稿をいただいています。
親野先生 : まずは、親子のコミュニケーションが取れているかどうかですね。自己肯定感と他者への信頼感は親子のコミュニケーションが基本になるので。「親は信頼できる」「友達は信頼できる」と思えるかどうか。この2つは親子関係で決まるんですね。
実は、これも言葉がベースにあるんですよ。親が子どもに対して否定語を多く使うと、このコミュニケーションのベースができない。親に対する不信感が出てしまうんですね。「ぼくはあまり好かれていないのかな、愛されていないのかな」とか。親に不信感を持ってしまうとその後の人間関係が同じ方向性になってしまうんですね。他者に対する信頼感が持てずに、ちょっといやなことを言われると、過剰反応してしまう。自分で自分を守らなくてはという意識が強く出てそれが過剰反応になってしまうんです。ちょっとした言葉でむかついて相手をたたいたり。
親が肯定語・単純語で子どもに接していれば、親への信頼感が持てる。それをベースにして友達とも信頼関係をつくることができるんです。ちょっと変なこと言われたとしても過剰反応しないで、許せるようになりますね。
編集部 : 自己肯定感と他者への信頼感、どちらも親子のコミュニケーションがベースにあるのですね。もし、既にお子さんの友達関係に不安を持っている保護者がいらっしゃるとしたら、どうすればよいでしょうか?
親野先生 : 園での友達関係に不安を感じている親御さんの場合は、ロールプレーで練習するといいですよ。親子で役割を決めて、「いっしょに遊ぼ」「遊びに入れて」と実際に口に出してみる。
「今はダメ。今度ね」と断られて、「じゃあ今度入れてね」という言葉が出るかどうか、ロールプレーしているかどうかで大きく違います。嫌なときにも「嫌だから止めて」と言えるようになる。
語学学習みたいですけど、実際に口を動かしてみて言いやすくしてあげると違うんです。「こういうふうに言うんだよ」「うん」と、指示を出して返事をさせるだけではダメで、実際に言ってみたかどうかがポイントなんですね。
編集部 : 友達関係が良好だと学校生活も楽しくなりますよね! 次も、保護者のかたからよくいただく相談なのですが……。ひらがなの練習などは必要でしょうか?
知的なことへの興味・関心を育んで!
親野先生 : 入学前に知的なものに対する興味関心を高めることは大切ですね。生活や遊びの中に知的なものを取り入れる。「楽勉」と言っていますが、遊びとして知的なものへの興味関心を育む。
TVでライオンが出ていたら図鑑を見るとか、何かで「秋田県は○○どころです」と見たり聞いたりしたら、地図帳や図鑑で調べたり、絵本を見たりするとかですね。
入学までに「ひらがな」を覚えさせないと……と急に思い立って焦る親御さんもいます。そして、いきなりワーク類で「これが『あ』だよ。さあ書きなさい」などと教え込もうとしたりします。でも、これでは無理です。子どもは、勉強って難しくておもしろくないと感じてしまいます。まずは、ひらがなカルタやひらがなパズルなどの遊びや絵本などを通して自然にひらがなを読めるようにしてあげてください。そうすれば、自然に書きたくなります。
毎日同じ時刻に寝て……生活リズムを整えておく
編集部 : 小学校入学前にやっておいたほうがよいこと、ほかに大切なことは何でしょうか?
親野先生 : 生活リズムを整えることが大切ですね。午前中から学校の勉強に集中するためには、リズムのある生活で心身ともに健康であることが必要です。生活リズムが乱れていると、午前中の授業で眠くなったり、もう下校するという頃になってやっと元気が出てきたりします。
そして、生活リズムを整えるというのは、毎日同じ時刻に同じことをするという意味です。まずは、寝る時刻、起きる時刻、食事の時刻、排便する時刻など、生理的なことをする時刻を一定にすることが大切です。中でも寝る時刻を揃えることはとても大切です。寝る時刻が一定になれば起きる時刻も一定になります。その他のことも同様です。寝る時刻がバラバラだと、その後の全てがバラバラになってしまいます。
寝る時刻の目安ですが、入学前は8時半、低学年は9時、高学年10時くらいですかね。できれば、土日も同じ生活リズムで過ごすとよいでしょう。
編集部 : まずは、寝る時刻を決めることが大切なんですね。ほかに決めておいたほうがよい時間はありますか?
親野先生 : 勉強や宿題を始める時刻も大切ですね。入学してしばらくは宿題はないですが、毎日同じ時刻に何か楽しくできる知的な作業をやらせるのもいいかも知れません。そうすれば、宿題が出るようになってもそのリズムを続けることができます。
開始時刻になったら好きな音楽が流れるようにするのもいい方法です。これを続けていると、その音楽が聞こえたら勉強モードに入れるようになります。
また子どもが小さいときは、部屋に一人で閉じこもって勉強するより家族の気配がするリビングなどの方が安心して集中できると思います。そこなら、何かわからないことがあればすぐ聞けます。親としても、子どもの勉強を見ながらたくさんほめることができます。
生活リズムを作るには、前にも言いましたが、することを目に見えるようにしておくといいですね。顔洗って歯磨きして、食事して、脱いだ服をたたむとか。「やることカード」を貼った模擬時計を時計の横に貼ったりしておくと、子どもはわかります。「あと3分だ。3分で寝なくちゃ」「食べ終わる時刻 7時」など本物の時計と模擬時計と比べてみるのは効果があると思いますよ。見える化は大切なんですね。
親野智可等
教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。
ランドセルコンシェルジュ🄬
「私たちランドセルコンシェルジュ🄬は、全国に15店舗あるセイバンの直営店で、お客さまのランドセル選びのお悩みを解決しながらランドセル選びをサポートしています。
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セイバンの厳しい社内研修・認定試験をクリアした、プロのアドバイザーです。」
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