母

体格に比べてランドセルが大きく感じたので、本当に背負って学校に行けるのかな？と思ったんですけど、それと同時にここまで大きく成長したんだな、とも思いました。
何か、ランドセルを背負ったときのことで覚えていることある？

子

うん。入学式が終わった後に、保育園がいっしょだった子たちとランドセルを見せ合った記憶があって。みんなそれぞれ色が違っていたんだけど、ランドセルを背負っている自分の写真を見せてもらったときに、私はやっぱりこの色にして良かったなって思った。

母

確かにね、この色が似合っていたよね。

子

お母さんが仕事をしていたので、遅めの時間に1人で帰るときがありました。友達もいないからちょっと不安だったんだけど、ランドセルを背負っていると“後ろを守ってくれている感じがする”から、少し安心して帰れたと思います

母

小学生なので丁寧に扱っているわけじゃないのに、しっかり耐えてくれたし、6年間使えるものだから、守られているという実感があるのかもしれないね。

子

そういえば、ランドセルにお守りを入れてくれていたよね？

母

何も伝えずに入れていたんだっけ？

子

うん。鳥みたいな絵が書いてあるお守りが、たまにポケットから飛び出していて。でも、眺めているとなんか落ち着くというか、安心感があるというか。

母

あんまり、無事でいられますように、という願掛けのようなことをしたことがなかったかな。でも、七五三のときのお守りだと思うんだけど、ランドセルのポケットに入れておけば、守ってもらえるんじゃないかと思って付けておいたの。

母

学校に行くときは毎日使っていたので、私より長く娘に付き添ってくれて、本当にお疲れさまでした、と伝えたいです。

子

ランドセルを背負って学校に行っていたときは感じなかったけど、今考えてみるとずっと守ってくれていたような気がするので、ありがとうと言いたいです。

子

大好きなおばあちゃんに買ってもらったランドセルを背負ったときに、6年間大事にしないとな、と思いました。あとは、これからランドセルの中にいろんな思い出がたまっていくんだろうな、とも思いました。

母

この子がランドセルを背負って喜ぶ姿を見て、おばあちゃんも喜んでいて、それを見た私も嬉しい気持ちになったことを思い出します。

子

ランドセルを大事に使おうと思っていたんですけど、あるときランドセルの横の物をかけるフックが壊れちゃったことがありました。

母

本人も雑に扱っているつもりはないんでしょうけど、男の子なんでね。途中でフックが取れちゃったりしたので心配だったんですけど、ちゃんと6年間使えたのでよかったです。

子

いろんなところに連れて行ってくれますし、僕のわがままに付き合ってくれてありがとうございます。

母

いえいえ、特別なことはしてあげられてないかなとは思いますが、2人で出かけるのは楽しかったのかな？

子

うん、楽しかった。野球場に行ったり、ラーメンを食べに行ったりとか。

母

末っ子なので、私と行動してくれなくなったらお母さんは1人になっちゃうので。いっしょに行動してくれる間は、楽しいおでかけができたらいいなと思います。

母

声が大きくて、元気が良くて、自分の意見がちゃんと言える子になってくれたこと。
日々大変なこともありますが、子どもがいることで楽しいことも、勉強させられることもあるので、ありがたいと思っています。

子

お母さんが、そう思っているとは知らなかったので、改めて聞けて嬉しいです。

母

入学してから卒業まで、6年間壊れずにいっしょに学校に行ってくれて良かったです。うちにもとうとう小学生がいなくなってしまい、寂しいですが私も小学生のお母さんは卒業です。

子

やっぱり、フックを壊しちゃったことと、4年生の頃に、道草に付き合わせて汚してしまってごめんねと言いたい。あとは、フックが壊れるだけで、頑張って耐えてくれたことにありがとうと言いたいです。
ランドセルは教科書とかを入れるものだけど、僕にとってはお世話をしてくれるお父さんお母さんみたいな存在でもあったと思います。

母

1人になるのが嫌な子で、留守番が苦手でした。共働きだったので、1年生の最初から朝10分だけ1人になってしまう時間があったんですけど、その“恐怖の10分”を泣いて過ごしていました。

子

今だったら全然大丈夫だけど、なんかそのときは怖かったんじゃないかな。

母

ずっと泣いていたので、本当に心苦しい気持ちで会社に向かっていたことを思い出します。でも、すごく頑張ってくれたと思います。

母

ランドセルは小学生の象徴だと思うので、いよいよ小学生になるんだなっていうのをすごく実感しました。

子

僕は、小学校1年生のとき、ランドセルが嬉しすぎて、枕にしたことがあります。

母

確かに、嬉しい！って言っていたのは覚えてる。それで、ランドセルを側に置いて、いっしょに寝たんだ。

子

卒業式のときに、ランドセルを背負いました。

母

卒業式は手さげカバンでも良かったんですけど、「最後はランドセルで写真を撮りたい」と言うので、私もいいアイデアだと思いました。

子

入学式のときもランドセルを背負って看板の前で写真を撮ったので、卒業式も同じように写真が撮りたいと思って。

母

実際に卒業式に行くとランドセルを背負っているのは、息子を含めて2人くらい。でも、写真を撮ることも含めて、ランドセル姿だからこそ改めて6年間の成長を感じることができたと思います。他のママさんたちからも「うちもランドセルにすればよかった」って何人にも言われました。息子の選択は間違ってなかったと思いましたね。

子

昔も今も負けず嫌いだけど、今は泣かなくなったこと。

母

それは、そう思います。小さいときは泣き虫だったんですけど、もう泣かないのが当たり前になったので成長したんだなと思います。
負けず嫌いという部分は昔から変わっていなくて、その気持ちを持って何かにチャレンジしたり努力できるので、我が子ながらすごいというか、尊敬できます。 逆に、お母さんの変わらないところってある？

子

優しいところとか、これはダメだよってちゃんと叱ってくれるところ。

母

優しいと思っていてくれてよかったです。いつも怒ってばっかりだと思っていたんですけど、その優しいの部分を感じてくれていたなら、よかったです。

子

友達ができるかなとか、勉強はどんな感じなのかなとか、学校ってどんなことするんだろうと、いろんなことを考えてワクワクと緊張であふれていました。

母

緊張してたんだね、あんまり表に出さないから知らなかったな。
私は、小さいからだでランドセルを背負って学校に行く姿が、なんとも言い表せられない感動というか。ついに、この日が来たんだな、と思ったのを覚えています。

子

学校に行くときは、お母さんいつも手を振ってくれてたよね？

母

そうだね、学校まで距離があったし、小さいからだで学校までちゃんと行って、無事に帰ってこられるかなって大袈裟に心配したこともあったね。

子

一番は、優しいところで、元気ないときとかに笑わせてくれたりするところも好きです。あとは、私がやりたいと思うことを、やらせてくれるところです。

母

優しいかどうかはわからないですけど、やりたいと思うことをやらせてあげたいとは思っています。
今はダンスに打ち込んでいるんですけど、一生懸命な姿を見るとやっぱり応援したくなるので。

母

優しい子に育ってくれたことです。人間として弱い部分を娘に見せてしまうことがあるんですけど、そんな時も和ませてくれたり、いっしょに寄り添ってくれるところも好きですね。
反抗期的な部分ももちろんあるんですけど、なんだかんだいって、私のことを優先して考えてくれるところも嬉しいです。

子

そんな風に言ってもらえるのは、嬉しいな。

子

ランドセルがなかったら、ちゃんと学校に通えなかったと思うので、ありがとうって伝えたいです。

母

まずは、6年間もってくれたということと、毎日娘といっしょに過ごしてくれて、ありがとうという気持ちです。

母

あっという間に小学生になったんだなというのと、大きくなったなという嬉しい気持ちでした。

子

僕はワクワクしました。『ドラえもん』が好きで、のび太くんがよくランドセルを背負っていますけど、ついに僕も同じようになれるんだと思って嬉しかったです。

母

それは、知らなかった。そんなふうに思っていたんだ。

子

声と性格です。1年生のときは学校に緊張していて、あんまり友だちと話せなかったんですけど、2年生のとき、転入してきた子に「友だちになろう」って最初に言って、そこから急にみんなと仲良くなりました。

母

もともと素直で元気な子なので性格が変わったということよりも、6年間の中で物事に対して積極的に動けるようになったのかなと思います。

子

ふざけるところです。

母

確かにそうかもしれないですね。もともと友だちと仲良く元気にしているタイプだとは思うんですけど、授業参観のときに、意見を言いながら結構クラスのみんなを笑わせていて。それには、ちょっとびっくりした覚えがあります。

子

6年間一緒に学校に行ってくれてありがとう、と言いたいです。
今は使わなくなってちょっと寂しい感じがするけど、やっぱりずっと使ってきて愛着もあるし、僕にとっては友だちのような存在です。

母

今で言うと人生の半分を一緒に過ごしているので、いろんな思い出が詰まっている大事なものなんだと思います。高学年になってからは特に、ランドセルを放り投げて遊びに行くようなことはせず、きちんと棚に置いていたので、私にとっては、ランドセルが子どもの成長の一部になっています。